何故だったのか27
上海での数日はいつもと変わらず。
いつもの友達と遊んで、いつもの場所に食べに行く。 羊肉串、新疆拌麺、湯包、虎牌、紅牛・・・ そうこうしている内に疲れが押し寄せた。体調を崩して、ふらふらする頭でいつもの通りを歩いているとき、ふと気付いた。 僕がやっていることは此処に住んでいた頃と変わらない。 上海はめまぐるしく変わっているというのに、僕は昔を懐かしんでいるだけだ。 一つ山を越えて心に穴が開いているときに気付いて、心が痛い。 前へ踏出さない人間。それは泳ぎを止めている鮪に等しい。 ・・・とはいえ、簡単に次から次へと目標は見つかるはずも無く。暫くもがき続けることになるだろう。やー、これから大変だ。 26日の朝、番寓路からタクシーに乗った。朝の上海は気持ち良い。 少しガスがかった朝日を受けながら、浦東へ行くのだ。 つい何日か前に太陽神はお隠れになった。あれは間違いなく奇跡だった。コントロール出来ない何かが全て良い方向に作用した、あの経験は何者にも替え難い。 そんな奇跡も、もう昔のことになり始めている。 空港に着いて、チェックインを済ませる。イミグレを抜けて飛行機へ。椅子に体を落ち着けて考えた。 さて、次は何をしよう・・・?まずは睡眠だ、睡眠・・・。 (了) |