何故だったのか16
いったん海の家を離れて、準備をする。
許可が下りなかったときは、そのときだ。 パーティはやる。絶対やる。そう決めた。 暫く後、海の家に戻ると老板がいる。 手短に自己紹介を済まして、本題を切り出す。 話を一通り聞いた老板は、眉間に皺を寄せたまま話す。 「パーティをやるのは良いが、安全が保証できないのは・・・」 良い、の後に条件が並ぶ。 僕はパーティがやりたい。 別に危険なことがしたいわけじゃない。条件が付こうが、パーティがやりたい! 老板と僕は話した。しっかり面倒見ることを約束して、思いのほかあっさりと、OKは出た。 テンションがあがるのを感じる。 ゲストハウスへ戻って、設営をする旨宣言する。 そのとき皆は、「おお、やっと始まる!」という反応だったように思う。 機材を浜辺へ持ち出す。GOサインが出たことでステップは軽かった。テントの組立も楽しいもんだった。 屋根が出来たところで、次はバッテリーや電子機器。水濡れできないものを運ぶことにした。バッテリーはクソ重い。2人がかりでやっと持ち上がる重さだ。それを2つ。あんまり重いものを他人に運ばせるのは・・・とも感じたが、空は雲行きが怪しい。急がねばならなかった。 電子機器を取りに行った帰り、不安は突然現実になる。バケツをひっくり返したような、どしゃぶりの雨が一気に降り出した。 ぬらすことの出来ない電子機器を、僕は持っている。雨宿りをしていたが、一行にやむ気配が無い。身動きが取れない中で、バッテリーを運んでいる友達を思い出した。 濡れたら感電するじゃないか!! 海の家を抜けて砂浜に入ったら、後はテントまで屋根は無い。横殴りの風からも、叩きつけるような雨からも、全く逃げ場が無いのだ。その上感電と隣り合わせとは!!一人雨宿りしている場合じゃない、そんなことを思って僕は駆け出した。砂に足をとられつつ懸命に足を動かしテントまでたどり着いた。 これで風雨を凌げる、と安心したのも束の間、そこは難破船だった。 |