何故だったのか11
上海の夏は暑い。
大荷物を抱えていることもあり、タクシーに乗ることにした。 中国に戻ると儀式のように毎回することがある。 タクシーの運転手に話しかけるのだ。 天気の話から始まって色々なことを話す。 こうして中国語の勘を取り戻すのだ。 そうこうしている内にホテルにつく。 これから島への出発まで、やることは多くは残っていない。 だけど、何かと何かの間の、ぽっかり空いた時間に僕は何をしていただろう。 大したことはしていないのに、後から振り返ってもあまり思い出せない。 思うに、何かに少し、緊張していたのかもしれない。 |