壁
暫くの間、壁が見えなくなっていた。
しかしそんなことは一時の出来事で、気付けば壁はすぐ目の前だった。 壁を乗り越えたと思っていたら 昨日越えたはずの壁が前に、再び立ちはだかる。 壁に当たるのは辛い話だ。 越えたと思っていても、次には更に高い壁となって「越えろ」と言う。 辛い。 しかし 新しい壁は、古い壁を乗り越えたからこそ現れる。 古い壁を乗り越えてここまでやってきたからこそ、はじめて気付いた問題なのだ。 壁は己の身丈に沿って一歩先を行く、自分自身なのかもしれない。 壁があるということは まだ先がある。 壁を乗り越えた先には 一つ先の自分がある。 だから、お前は壁の存在を喜べ |