全編通して光り続けるものはありませんが、節々に「これは」と思うようなものがあります。
まず主役を演じるイッセー尾形。何かと何かの間にある、歪んだ隙間に立っている昭和天皇を良くも悪くも十二分に表現しています。特に最後の、桃井かおり演じる皇后との「あ、そう」の掛け合いは見もの。同じ言葉の繰り返しから言葉に込められた感情が伝わってきます。
それと、もうひとつが、御前会議に出席する前の天皇の夢。どうやって撮ったんだろうか？悪夢を映像にしたらこうなりました、的な。

昭和天皇を回想するとき、戦争は必ず付いて回るものです。この映画では時代考証などは余り行われていないように感じ、少し残念に思いましたが、昭和天皇のみを描いた(半ノン)フィクションと考えれば良い映画でしょう。
タイミングの良い(悪い？)時期ですので、機会があるときに見ては如何？

「The Sun」
監督/アレクサンダー・ソクーロフ
主演/イッセー尾形
8月5日、銀座シネパトスにて封切。順次全国公開。