I say "NO".
ent.JPG表参道ヒルズに行ってきました。
見るまでは、凹んだり腹を立てたり・・・情緒不安定になるほど心配をしていたけれど実際見て、ホッとしました。でも"NO"表参道ヒルズ。

まずホッとしたこと。
「パッと見、酷くなかった」

それだけ。

 
outside.jpgホッとした後に残ったのは落胆だけだった。
入る前に表通り側から裏へ周ってみる。表参道交差点側の角からセンスの欠片も無いロゴを見る。同潤館にあんなロゴ・・・?北斗の拳で、焼印を押される人のシーンが浮かんだ。
同潤館の中では取壊し前の同潤会アパートを回顧する展覧会が行われている。ほんの2,3年前のことだっていうのに、もう昔のことのように感じる写真の向こう。表参道ヒルズが建って、もう同潤会アパートを見られないことを思っていたら急に、葬式の後の、形見分けをしているときのような気持ちになってきて、泣きそうになった。

inside.JPG同潤館の後でもう一度外から眺める。
"いつもの"安藤忠雄作品。建物に「これは!」という所が無い。僕の中で安藤忠雄はもうお腹一杯だ。その内、表参道ヒルズと同じような建物がセーヌ川の中州に建つだろう。「マンハッタンペントハウス」のようなリノベーションは面白かったが、僕の中の安藤忠雄は、やはり「TIME'S 1&2」で止まったまま。

中に入る。
上から下へ、スロープを下に。回遊できるのは面白いが、中途半端な幅の廊下。美術作品としての建築と、商業施設としての建築に板ばさみになってしまったような気がしてならない。まあ、これはブームに群がる人が消えてから判断すべきことなのだけど、美術品でなく商業施設として考えたときにあの幅はどうなのだろう。パラボラアンテナのような形のスピーカーが一瞬目線を持っていくけど、それ以上は無い。

speaker.JPG一番下まで行って、立ち止まるスポットが見当たらなかったのに気付く。
同潤会が有ったときと変わらず、外の歩道にはベンチ代わりになるレールが残っているが、あそこに座っても前のように和むことは無い。あんなに大きい建物が目の前にあって和めるわけが無い。だから、中に代わりとなるスペースが欲しかった。だけどあるのは申し訳程度にあるブロックのベンチだけ。

テナントについてはそれぞれ趣味があるので深く言わないけれど、大して他所と代わり映えしない。おっ、と思ったのは京商のラジコンカフェくらい。

クリエイティブ?
ワールドクラスな舞台??
そんなものは既に此処から無くなったし、はなから無い。
ここから生まれるクリエイティブは商業化された、仕掛けられたものでしか無い。群がるのは踊らされた奴だけだ。

建物自体は、酷くないという表現をしたが、他の場所ならいざ知らず、"この場所"に建つには相応しくない。イコンを消し去ってまでして作るほどの出来じゃない。
ほとんど失敗が許されない中で、「そこそこ」じゃダメだ。


外に出て、表参道ヒルズの裏側を通って帰った。
いつも見ないような人が歩いていたりするけど、こちらは平穏。裏の小学校がいつもと変わらずにいて落ち着いた。

結論。
同潤会アパートは完全に死にました。
表参道の半分は死にました。
サヨウナラ。

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表参道ヒルズ(2005.07.11)
2006.02.13 Monday 14:06 | interest | - | trackbacks (0) |
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