何故だったのか22
月が太陽と地球の間に入り込む。
ゆっくりと太陽が欠けていく。 何度も何度も空を見上げているが、そんなすぐには変わらないものだ。 はっきりと蝕を確認できる頃には、太陽はもう半分ほどになっていた。 人と交わす言葉も興奮含みだ。太陽は雲に隠れ、雲から出ては刻々と形を変える。三日月のようになった太陽を見て誰かが言った。 「太陽が笑ってる!」 そんな太陽を見て周りが皆、太陽と同じように笑った。 太陽の光が大分弱まった頃、最後の曲をかけてもらった。 最後の曲、わがままを言ってAnnui Dubをかけたかった。でもiPodが見つからなかったんだ。酔っ払っていたからすぐ諦めて、DJに任せた。一晩じゅう音を選び続けてくれたDJ!2人だけで音を守ったんだ。任せても良いだろう。 音が止まり、拍手が鳴った。 そして皆の関心は空に注がれる。 もう太陽は鋭利な刃物のように細い。それに留まることなく刻々と0に向かっているのだ。目が離せない。目を横にやると、皆一様に上を見上げている。寝転んで、日食が終わるまで動かない構えもちらほら見えた。 |