何故だったのか15
バスの中で既に一人、テンパり始めていた。
何をしなければいけない? 30人もの人をまとめたことなんてない。その上、通じる言葉もばらばらだ! 始めて来たときに気に入った島の風景も、眺めている余裕なんてない。 そんな気持ちだったから気付いたときには、もう高場湾村に着いてしまった。 そこから先、チェックイン、部屋割り、ゴハンの手配、ビーチへの入場料・・・湧いたように出てくる新たな仕事、仕事。 「勝手にしてくれ!」と言う訳にも行かず、かといって背負いきれる訳でもなく。こんなときも当然、会話は全て中国語。集中力は面白いほど削がれていく。 事実上、完全にパンクしていた。何をどうしたなんて、記憶に無い。 気付けば夕方をすっとばして夜。 海に来たのに、砂浜にはまだ一歩も足を踏み入れてない。時間は飛ぶように過ぎる。 投げ遣りそうになった仕事は、横に友達が居たお陰で、何とか片付きそうだ。この元・同居人が居なければ日食の思い出は、全てが嫌なものになっていた。 そして残った大きな仕事がに一つ。 ビーチを管理する老板からの許可。 確認はした「はず」だった。 5月の下見で、タクシーの運転手に訊ねた。 「パーティやるときに許可っているの?」 「小規模なら無許可で没問題!」 そんなやりとりをしたことを思い出した。 責任者に確認をとらなかった自分が甘い。 運転手を呪おうとしかけた・・・が、それに気付いて自分を呪い直した。 海の家に向かい、老板に会いたいと告げる。 老板は不在。電話をかけてもらって話すも、老板はパーティを渋っている。 電話じゃ埒が開かない。直接会って話すしかない。時間は過ぎる。 |